4つの軸講座 第4章

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「これでは売れないのも当然だ……」
そう彼女は心の中で呟いていた。

そして、店員を呼び、アールグレイ(紅茶)を注文した。落ち込んだ気分を少しでも切り替えたかった。お気に入りのアールグレイを飲めば、少しは気分が変わると思ったのだ。でも、落ち込んだ気持ちはひとかけらも消えず、紅茶を飲む気にもなれず、「気分を切り替えて、橋本さんの話に集中しないと……」とずっと考えていた。

Tea Time with Mooncake Pt. II

彼女は独立してから、毎日のようにブログを更新したり、Facebookを投稿したりしてきた。それでも、売上はほとんど上がらず、貯金を使って生活してきた。その上、僕から聞いた『4つの軸』で現状を見ると、彼女の置かれている状況は想像以上に厳しかった。

僕はそんな彼女のことを「大丈夫だから……」と思いながら、これまで話した『4つの軸』のまとめをカンタンに話し始めた。

「……と、ここまで話してきたのが4つの軸『大知対形(ダイチタイケイ)』です。カンタンに復習しましょう。まず4つの軸には『』『』『』『』の4つがありました」そう話しながら、僕は資料を指した。

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  • 第1の軸『』(「大きい」方が「小さい」より有利)
  • 第2の軸『』(「知られている」方が「知られていない」より有利)
  • 第3の軸『』(「対面」が「非対面」より有利)
  • 第4の軸『』(「形がある商品」が「形がない商品」より有利)

「そして、第2の軸の『知』には厳密には『企業』『商品』『担当者(営業マン)』の3つのケースがありました。次のとおりです」

  • (顧客が)企業を知っていた
  • (顧客が)商品を知っていた
  • (顧客が)担当者(営業マン)を知っていた

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「相葉さん、ここまでいかがでしたか?」

僕は彼女の気持ちが痛いほどわかった。1年半努力してきて、売上が上がらず、混乱した状況で僕のところに来たのに、彼女はさらに厳しい現実を直視したのだ。現実が見えたことで、より不安になったのだと思う。

彼女はずっとうつむいていた。でも、しばらくすると、うつむいていた顔を上げ、僕の目を見て、ゆっくりと話しはじめた。

「『4つの軸』はそう思います。私もそうですし、同様にうまくいっていない知り合いの女性などもまさに4つとも不利な状況で、だから私たちはビジネスがうまくいかなかったのかもしれません。
特に私の場合は『形がない商品』が不利という認識が全くありませんでした。利益率が高いから有利だと思っていました。
ただ……、では、どうすればいいのか。それが全くわかりません。本当にそこが知りたいです」

僕は相葉さんの「本当に」という言葉に強い意志を感じていた。何とか解決したい、という意志、それが微笑ましくも思えた。その意志に答えるように、僕は答えた。

「相葉さんの言うとおりです。『4つの軸』で見て『ふーん、自分たちのビジネスは不利なのか』と考えておしまいというわけではありません。ここからが本番です。相葉さんの現状を踏まえ、その現状に適した正しい行動をとることが重要です」

「正しい行動……?」

「そうです。売上を上げるための正しい行動です。その正しい行動を生むためには、正しく考えることが必要になってきます。では、質問です。正しく考えるにはどうすればいいのでしょうか?」

「正しく考えるにはどうすればいいのか……そう言われても、正しく考えられなかったので、私はここに来ているのですし、わからないです」

「よく考えてみてください。相葉さんが何かを考える時は、何らかの情報を参考にしているはずです。特に相葉さんにとって経験がない、マーケティングのようなことではなおさらです。ゼロから考えることはまずないと思います。
成功事例だったり、失敗事例だったり、コピー(売るための文章)だったり、広告だったり、サイトだったり、非常に多くの情報を参考にしているはずです。
正しく考える時にとても重要なことの1つは、それら参考にすべき情報を正しくするということです。正しい情報を用いるから、正しく考えることができます。そして、正しく考えるから、正しく行動ができるわけです。正しい情報が正しい思考を生み、正しい思考が正しい行動を生むわけです

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「確かにそうですね。誤った情報をもとに考えたら、誤って考え、誤って行動してしまいますね」

「『4つの軸』を用いると、参考にすべき情報がある程度、正確になります。
たとえば、『形がない商品』を扱っているコーチの方が、『スター●ックス・コーヒー』などの事例を参考にしようとするケースがありますが、相葉さんはこれをどう思いますか?」

「『スター●ックス・コーヒー』はあれだけ人気もあるし、成功しているので、参考になると思いますが……」

僕は彼女のその答えに頷きながら、次のように言った。
「そうですか。では、『4つの軸』でスター●ックス・コーヒーについて考えてみましょう。『4つの軸』で見ると、スター●ックスは次のようになります」

僕は目の前のノートに次のように書いた。

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  • 第1の軸「大きい」(有利
  • 第2の軸「知っている」(有利
    (企業も、商品<ドリンクなど>も、場合によっては担当者<店員>についても知っている)
  • 第3の軸「対面」(有利
  • 第4の軸「形のある商品」(有利

『スター●ックス・コーヒー』の場合、全てが有利な条件を満たしているのです
第1の軸『大』は顧客にとって「大きい」かということです。厳密には顧客に確認することになりますが、少なくともコーチの方よりは大きいですよね。そして、第2の軸『知』では、スター●ックス・コーヒーは企業だけではなく、ドリンクなどの商品も、お客さまによっては店員(担当者)の方と親しい人もいるでしょう。
さらに第3の軸『対』では、現実(リアル)の世界に『お店』があり、『店員』がお客さまを直接対応しているし、第4の軸『形』では、ラテやドーナツなどの「形がある商品」をお客さまに提供しているわけです。
このように全て有利な状況です。この圧倒的に有利な状況で、新商品を絶えず創り、商品を改善し、顧客リサーチを継続し、地道にプロモーション(集客)を展開している。メールマガジンでさえ、定期的に配信しているのです」

彼女は頷きながら、言った。
「明らかに私のようなコーチとは違いますね」

「そのとおりです。では実際に『形がない商品』を数名の小さな企業で、ネットだけでプロモーションを展開していた場合はどうでしょうか?」
今度は次のようにノートに書いた。

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  • 第1の軸「小さい」(不利
  • 第2の軸「知らない」(不利
    (企業、商品、担当者全てを知らないケースが多い。その場合、全ての面で不利)
  • 第3の軸「非対面」(不利
  • 第4の軸「形がない商品」(不利

「第2の軸については、見込客の方に知られているケースがありますが、ビジネスがうまくいっていない場合は見込客の多くに知られていない可能性が高いわけです。その場合、全てが不利な条件となり、最も不利な状況となります。
このような最も不利な状況にある企業が、最も有利なスター●ックスの事例を参考にするのは、大きな間違いであることはわかるでしょう。参考になる点はもちろんあるでしょうが、優先順位が違うし、全面的に参考にすることはできないわけです。
最も有利な状況』にあるケースを『最も不利な状況』にあるケースに反映させようとしても、それは最適とはいえないわけです

相葉さんは頷きながら、こう言った。

「私はまさにその最も不利な状況をずっと続けてきました。私のビジネスは小さいですし、見込客にほとんど知られていません。非対面で、形がない商品を売ってきたので全て不利な状況です。そんな自分の状況を全く意識せず、スター●ックス・コーヒーのような圧倒的に有利な状況にあるビジネスの情報などを参考にしたりもしていました。本当に混乱していました」

「そして、とても重要なことを押さえてほしいのですが……、相葉さんの状況は全て不利な状況であり、実は非常に難易度が高いマーケティングが必要だということです。この『現実』を理解することがスタートラインとなります」

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相葉さんの困ったような顔を見ながら、僕は続けて話した。

「ここから、成功した事例をお話していきます。僕がマーケティングの支援をしているTさんという方がいます。彼は創業初年度から年商は2000万円を超え、順調にビジネスを進めていきました。その彼の『4つの軸』はどうだったのか、を見ていきましょう」

そう話しながら、ノートに次のように書いていった。

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  • 第1の軸「小」(不利
  • 第2の軸「知っている」(有利
    (Hさんは見込客に知られていた)
  • 第3の軸「対面」が中心(有利
  • 第4の軸「形がない商品」(不利

彼女は少し驚いたように言った。
「Tさんの場合、全てが不利ではないですね。全てが有利でもないですが……」

「そのとおりです。Tさんの場合、第2の軸と第3の軸を有利な状態にしていきました。
第1の軸では、彼のビジネスは小さなビジネスであり『不利』でした。
ただ、第2の軸では、彼は知られていたんです。著書を出版したり、メディアに出るようなことはなかったのですが、見込客には知られるようにしていったのです。そして、第3の軸では『対面』に力を入れていました。ブログやメルマガ、SNSなどの展開もしていましたが、人と直接会う活動に力を入れていたのです。そして、第4の軸では『形がない商品』で不利でした。
ただ厳密にいえば、この状況に加えて、最も重要な第4の軸『形がない商品』の問題を解決するように商品開発を徹底し、売れる商品にしていきました。つまり、次のようにしていったわけです」

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  • 第1の軸「小」(不利
  • 第2の軸「知っている」(有利
    (Tさんは見込客に知られていた)
  • 第3の軸「対面」が中心(有利
  • 第4の軸「形がない商品」(不利を可能な限り解決

「こうして、(うまくいかない方の多くが全て不利な状況であるのに対し)、Tさんは圧倒的な差をつけたわけです。
多くの人は、インターネットでのビジネスがラクだし、簡単だと思っています。ラクな方、ラクな方に進んでいきます。ですが、実際には多くの人や企業、それにテクノロジーがそこに集中するから、意外に直接営業した方が成約したりするわけです。ネットより労力がかかるし、多くの人の裏をかいているからこそ、余計にそうなのです。
Tさんの場合は第2、第3、第4の軸の3つで差をつけていますが、はじめはたった1つ有利にすることでも構わないです。それだけでも大きな差がつきますし、何より、売りやすくなります」

彼女は「たった1つ有利にするだけで構わない……」と心の中で呟きつつ、頷いた。ただ、あることが気になった。

「『形がない商品』の問題点を解決していく、という点がよくわからないのですが、それはどうしたらいいのでしょうか?」

僕は彼女のその質問にすぐに答えた。

「実は、それこそが解決すべき最も重要な問題です。僕が起業家の方に対し、力を入れているのもまさに『形がない商品』の商品開発のコンサルティングです。
ただ、それはこのあと、お話していきます。
まずはここであなたが知る、成功しているコーチの方をイメージしてください。そして『4つの軸』に当てはめてみてください」

彼女は右上の天上の方に視線を移すようにして、誰かをイメージしているようだった。

「イメージして『4つの軸』に当てはめるんですね……」
そう言って、しばらくすると少し驚いた表情で彼女は僕のことを見た。

「あっ、本当ですね。2人ほどイメージして当てはめてみたんですけど、どちらも1つは確実に有利な軸があって、私のように全て不利ということはないです」

「必ずとは言えませんが、きっと全てが不利にならないケースが多いはずです。
わかりやすい例でいえば、第3の軸『対』でネットなどの『非対面』で展開するにしても、確実に『対面』などのセミナーを絡ませて、ビジネスを展開する。
『対面』を加えることで少しでも有利にしていくわけです。セミナーなどの『対面』に持ち込むことで見込客に『知られている』状態にもなり、第2の軸も有利になっていきます。大きく変わるわけです」

「確かに、変わりそうです。漠然と無料や低額のセミナーをやった方がいいのかなぁ、などと考えていたのですが、そう考えていくとかなり明確ですね。成約率の高い『対面』を用い、それによって『知られている』状態にすることでさらに有利になる。本当に大きく変わりそうです」
彼女は嬉しそうに話した。

少しずつ、いくつかの希望が見えてきた。彼女はそんな感じがしていた。

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