4つの軸講座 第5章

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彼女(相葉遥)は希望を感じていた。未来はまだ見えない。でも、真っ暗闇だった彼女の未来に、いくつかの光が見えているような、そんな感覚に包まれていた。

「一体、どうすればいいのか……」ともがき、混乱していた状況から彼女は少しずつ脱しつつあった。

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僕はそんな彼女の様子を見て、少し微笑み、話した。

「では、いよいよ、相葉さんのケースについて、お話しましょう」

自分の状況か……と思うと、彼女は少し楽しみになってきた。

「お願いします」

「相葉さんはおそらく『ネットが有利』『ネットは可能性がある』などという情報を、書籍やネット、色々な場面で聞いて、『可能性がある』と信じて、ネットでビジネスを展開してきたのだと思います。……でも、それは最も不利な状況でビジネスを進めていることになるわけです。改めて、確認してほしいのですが、『4つの軸(大地対形)』で見ると、相葉さんの状況はこのとおりです」

僕はノートに彼女の状況を書き、その箇所をボールペンで指した。

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  • 第1の軸「小」(不利)
  • 第2の軸「知らない」(不利)
    (企業、商品、担当者のことも知らないケースが多い。つまり、全ての面で不利)
  • 第3の軸「非対面」(不利)
  • 第4の軸「形がない商品」(不利)

「この状況のまま、ただブログを更新していても、Facebookを投稿していても、なかなかうまくいきません。最も難しい状況だし、高度なマーケティングが必要だからです」

彼女はその話を聞きながら、頷いた。
「確かにこれでは成功しないですよね。私はこの状況に全く気がつかず、1年半もブログを更新したり、Facebookを投稿したりしていました。本当にダメですね」

彼女は「ダメですね」とは言っていたが、少なからず希望を感じたせいか、そこまで落ち込んでいる様子ではなかった。彼女は続けて言った。

「自分では気がつかなかったのですが、確かに、面倒なことを避け、ブログの更新やFacebookの投稿など、ラクなことだけやってきました。全て不利だという状況にも気がつかないで。……ただ、1つ疑問があるのですが、全て不利なこの状況では成功しないのでしょうか?」

僕は彼女のその質問に「いい質問するな……」と心の中で呟きながら、こう答えた。
「少なくとも、第4の軸の『形がない商品』を売れる商品にする必要はあります。商品を売れるレベルにすれば、『4つの軸』が全て不利であっても成功しないというわけではありません。ですが、最も難易度が高いわけです。
この状況で成果を上げるには、高いスキルが必要になってきます。
相葉さんはコーチングについては専門家かもしれませんが、マーケティングについてはほぼ経験がないですよね。だから、オススメはしないです」

彼女が頷いている様子を見つつ、僕は続けた。

「その意味では、相葉さんは毎日のようにブログやFacebookを続けてきたのに成果が出なかったことに、『自分はダメだ。成果を上げられない人間なんだ』と悩んだり、考えたりする必要はありません」

「私はまさにそう考えていました。1年半も取り組んだのにほとんど成果があがらなかったし……本当に苦しかったし、自分には向いていないのだと思ってました」

彼女も苦しかったのだろう。その苦しかった状況を思い出したのか、少し涙を浮かべていた。

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「実際にマーケティングで成果を上げるのは、そう簡単ではないのです。
僕は会社員時代、大手金融機関グループのマーケティングの部署で管理職、責任者をやってきました。そこで多くの社員を見てきたし、取引のある多くの広告代理店の社員なども見てきました。
独立後も様々な企業のマーケティング責任者や専門家の人たちにも会いました」

僕は、自分が関わってきた彼らの顔を頭に浮かべながら、続けた。

「でも、誰もが1年やそこらでマーケティングができるようにはなっていません。それは僕が感じるだけでなく、彼ら自身もそう思っているはずです。『1年や2年でマーケティングはわかるものではない』と」

そこで彼女は不思議そうな表情をして、言った。

「でも、世の中には『カンタン』などというマーケティングの本や情報がありますよね」

僕はその彼女の話を受けて、スマートフォンを手に取り、そのような情報を2、3検索し、それらを彼女と見た。

「確かにそのような本や情報はありますよね。
でも、何かコンテンツを売ったり、注目を集めるには『カンタン』などというコピー(文章)が必要なのです。その方がお客さまの反応(レスポンス)を得られるのは確かです。
でも、現実は違います。僕自身も1年や2年ではわかったというレベルには達しなかったし、僕が関わってきた多くの人もそうです。
どの程度の年月が必要かは人によって異なりますが、高い成果を出すには相当な時間がかかります」

そして、僕はこう続けた。

「実際には『カンタン』などと言っている人たちは、ある程度の経験やスキルがあるし、『4つの軸』で見ると、いくつかの軸を有利にしています。比較的大規模に展開している人とコラボしたり、紹介してもらうネットワークがあったり、『対面』を用いたり、と『4つの軸』全てで不利な状況ではないのです」

「それでは、私の状況とはまったく違いますね」
彼女は悔しいのか、笑いたいのか、わからない微妙な表情をして、呟いた。

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「そのとおりです。相葉さん同様、『4つの軸』で見ると、うまくいかない多くの人が最も不利な状況でビジネスに取り組んでいます。その状況で成果を上げるには高いスキルが必要なのに、それを持たずにその状況を延々と続けてしまうわけです」

「本当にダメですね」

「先ほども少し触れましたが、ブログを更新したり、Facebookを投稿したりするのは本当にラクだからです。お金だってかからない。だから、その悲惨な状況(最も不利な状況)に陥っていくわけです。しかも高いスキルがないわけです。その状況が延々と続きます。ただ、この状況に陥るのは相葉さんだけではなく、うまくいかない多くの人たちも同じです。その上、『形がない商品』はそもそも難しいのです」

「第4の軸『形』のお話の時も、「形がある商品」の方が売りやすく、「形がない商品」は売りづらいというお話でした」

「そのとおりです。以前もお話しましたが、僕は著書(『顧客の「本音」がわかる9つの質問』)でも書いたように書籍を出したり、大手上場企業の顧問をさせていただいたり、してきましたが、それでもマーケティングに取り組んだ当初の1、2年はうまくいかず、悲惨な状況でした。『やめてやる……』と幾度も思ったものです。大手の広告代理店やネット広告代理店など、その中でも優秀な専門家の人たちと共にビジネスに取り組んできましたが、それでもうまくいかなかったんです」

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「優秀な専門家を集めても、ですか……」

「そうです。そこから、独自のデータ分析や調査などを何年にも渡って続け、いかに『形がない商品』を売るかを研究し、気づいたら、『国内トップクラスの担当者』などと一部で評価されるようになり、大手企業などからマーケティングの相談を受けるようになりました」

僕は一息ついて、続けた。
「そこで発見があったのです。大手企業のマーケティングを手伝うようになってわかったのですが、『形がない商品』と比べると、『形がある商品は圧倒的に売りやすい。これは『形がない商品』を売ることに試行錯誤してきたおかげだと思っています。その後、本などを出版し、コンサルタントやコーチの方などの『形がない商品』も見る機会が増えました。彼らは必死に努力しています。でも、彼らのほとんどの『形がない商品』は売れる商品になっていなかったのです。彼らは10中8、9売れない商品を売っています」

「10中8、9売れない商品……」

「彼らの多くは実際には10中8、9売れない商品を売っています。しかも、今回説明したように『4つの軸』は最も不利な状況です。その売れない商品を最も不利な状況で売っているケースが多かったのです。つまり、次のように、です」

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  • 第1の軸「小」(不利)
  • 第2の軸「知らない」(不利)
    (企業、商品、担当者のことも知らないケースが多い。つまり、全ての面で不利)
  • 第3の軸「非対面」(不利)
  • 第4の軸「形がない商品」(売れない商品)(圧倒的に不利)

「このように最も不利な状況で『売れない商品』を展開しているわけです。
『商品』が最高でなくても、マーケティングが良ければ売れる、これはよく言われることだし、平均以上の商品であれば、そのとおりです。ですが、実際には平均以下の『売れない商品』を最も不利な状況で展開しているわけです。
『形がない商品』は利益率が高く、その点は優れています。ですが、この状況では売れないわけです。この状況をただ続けていても、結果が出ないことに精神的にまいり、『自信』も失われ、さらに売れない状況に陥っていきます

相葉さんは瞬きもせず、まっすぐに僕の目を見て言った。

「確かに最悪の状況に加えて、売れない商品であれば、それを続けていてもうまくいかないと思います。私自身、それを続けていて、ほとんど売れませんでした」

「そのとおりです。『いつかは売れるはず……』とFacebookやTwitterを展開していても、この状況では成果はあがりません。最悪の状況で売れない商品なんですから」

「確かにそうだと思います」

彼女には自分がうまくいかなかった状況、その原因が見えてきた。

実際に成果を出す方法が見えてきたわけではない。でも、自分がなぜうまくいかなかったのか、が見えてきたのだ。それが彼女の希望をより高め、勇気と自信を生み出していた。

僕は彼女の様子を見て、最も重要な話をしようとしていた。

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