商品は全体に影響を及ぼす
全力で対応すべきは商品
彼女はアールグレイ(紅茶)に口をつけた。
ようやく落ち着いたようだった。自分の現状を理解することで少しホッとしたようだった。僕もコーヒーをひと口飲んだ。
「いよいよ。大詰めです。ここから『4つの軸』をどのように使いこなすのか、それを話していきます」
「『4つの軸』を使いこなす……、それはとても興味があります」
彼女は自身のノートに何かを書き込んだ。
「まず、相葉さんに質問ですが、『4つの軸』を逆にしてみてください」
「……逆とはどういうことですか?」
「『4つの軸』はわかりますよね。少し復習になりますが、次のとおりです」
目の前にある資料を僕は指した。
- 第1の軸『大』(「大きい」方が「小さい」より有利)
- 第2の軸『知』(「知られている」方が「知られていない」より有利)
- 第3の軸『対』(「対面」が「非対面」より有利)
- 第4の軸『形』(「形がある商品」が「形がない商品」より有利)
彼女が資料を確認し終わったところで、僕は彼女にお願いした。
「では、これを逆の順にしてみてください」
「『4つの軸』は『大知対形』ですから、逆にすると『形対知大』ですか?」
「そのとおりです。『4つの軸』のそれぞれの軸を有利にしていく時はいずれの軸から対応しても構わないのですが、基本的には『形対知大』の順に対応していくのがオススメです」
僕は続けた。
「まず『形』。つまり『形がない商品』から対応していきます。ここを売れる商品にすることです。ここが売れる商品になると、他の軸が影響を受け、より有利になっていきます。
たとえば、商品が売れるモノになると、次の軸の『対』も改善します。『対面』での成約率が高まりますし、『非対面』での成約率も高まります。次の『知』も、魅力的な商品であれば、注目度が高まり、紹介されることも多くなるなど、知ってもらえる確率が高まります。そうして、ビジネスが少しずつ大きくなることで最後の軸の『大』にもつながるわけです。このように形→対→知→大の順に良い影響が伝わっていくわけです」
「商品が売れるようになると、他の全ての軸も影響を受けるんですね」
「そのとおりです。だからこそ、まずは商品をしっかり創りあげることです。これは『4つの軸』一つひとつの軸に良い影響を及ぼすだけでなく、ビジネス全体に影響を及ぼします。
『商品』が売れないものだと、それを伝えるコピー(文章)、告知、広告、サイトなど、全てが売れないものになっていきます。
逆に『商品』が売れるものであれば、コピー(文章)、告知、広告、サイトなど全てが売れるものになっていきます。天と地ほど違うわけです。
僕が関わった事例でも……たとえば、創業してわずかの間に年商1億を超えるような起業家の方の場合、『商品』がまず売れるものになっています。だからこそ、コピーや告知、広告、サイトなどが売れるものになっていくわけです。その意味では『4つの軸』の中で最も重要であり、最も優先度が高いのが『商品』です」
「では、私の場合も『商品』から対応した方がいいということですか?」
彼女は僕を見ながら質問した。
「そのとおりです。まずは『形がない商品』を売れる商品にすることです。
『商品』を売れる状態にした後で、4つの軸の残りの軸を一つひとつ有利にしていくわけです。
カンタンです。まずは、ネットばかりで展開してきた『非対面』の状況に『対面』を取り入れる。それだけでも『知られていない』状況から『知られる』ようになっていきます。実際に会えば、『百聞は一見に如かず』です。お客さま(見込客)が相葉さんと直接対面すれば(会えば)、深く知ってもらえる確率は一気に高まります。
もちろん、売れる商品であれば、その点でも知ってもらえる確率は高まります。大きな規模で展開しているビジネスとコラボすることだって、比較的容易になっていきます。
そのためにも、まずは『形がない商品』を売れるようにすることです。それができれば、相葉さんのビジネス、いえ、人生が大きく変わります」
「まだ、実際に取り組んだわけではありませんが、なんだか希望がわいてきました」
彼女は僕を見ながら、微笑んだ。
「大丈夫です。商品が『売れる商品』になれば、いくらでも手があります。たとえば、人に任せることだってできます。広告やプロモーションやサイトの構築などは人に任せることができます。ただ、商品の開発はなかなか任せることができません。特に相葉さんの商品は『形がない商品』です。なおさら、難しいわけです。相葉さんの人生をかけた『起業(夢)』を壊さないためにも、そして、輝かせるためにもまず『商品』を全力で対応してください」
「なんだか、橋本さんのお話を聞いていたら、できる気になってきました。商品に力を入れて、『4つの軸』を有利にしていけばいいということですね」
僕は微笑みながら、続けた。
「そのとおりです。もちろん、細かいことをあげれば、いくらでもありますが、まずは『形がない商品』を『売れる商品』にすることです。そして『4つの軸』を少しでも有利な状況にしていき、展開していくことです。そうすれば、最も不利な状況で苦悩している現状から脱することができます」
マンツーマンの商品開発実践講座
彼女は頷き、僕に質問した。
「商品を創るのを橋本さんに手伝っていただくことはできませんか?」
僕はそれにゆっくりと答えた。
「もし相葉さんが望むのであれば、そのための講座があります。ここまでお話した『4つの軸』を考慮し、そこで成果を上げていくために『形がない商品』を売れる商品にしていくものです」
「そんな講座があるんですか?」彼女は驚きと嬉しさが混じったような表情になった。
「はい、『商品開発実践講座』という講座です。具体的には、相葉さんのような『形がない商品』を扱う起業家の方のための講座です。講座ではマンツーマンで一緒に商品を創りあげていきます」
「マンツーマンで一緒に……?」
「そうです。実際に『僕』が一緒に創りあげるということです」
「ただ、教えていただけるのではなく、実際に見てもらえるってことですか?私のようにうまくいっていないケースも扱っていただけるのでしょうか?」
「そのとおりです。教えるだけでなく、実際に一緒に創っていきます。今回の対象は、まだ小規模なビジネスの起業家の方がメインです。相葉さんはもちろん大丈夫です。
講座の目標は毎年売れ続ける商品を創ることです。僕がお手伝いした方の中には、創業わずかで年商1億を超える成果を出された方もいますが、まずは毎年一定の売上を実現する商品を創るのを目標としています」
「毎年一定の売上を実現する商品を一緒に……」
「一緒に創ることがとても重要だと考えています。
うまくいっていない起業家の多くは大抵、孤独です。
日々、ブログを更新したり、Facebookを投稿したりして、頑張っています。それなのに、ほとんどお客さまが得られず、売上が上がらない。
そんな状況で、誰かの活躍をSNSなどで知ったりすると、『自分は何をやっているんだ……』と焦りを感じたり、『社会の役に全く立っていない……』と思い悩んだりしてしまう。
それに信頼でき、協力してもらえる人も少ない。
今回お話した『4つの軸』もわからず、ただネットでの展開を続け、『形がない商品』を売れるようにすることもできず、孤独に混乱していく可能性だってある。
僕は、そのような状況で『商品の開発』を少し教えた程度ではうまくいかないと考えています。だからこそ、一緒に創っていきます」
「でも、売れる商品を確実に創れるのでしょうか」
僕はその彼女の疑問にゆっくりと答えた。
「大学受験の予備校で『絶対に東大に受かります』などと言わないように、この講座も『絶対に売れるようになります』と保証するものではありません。ですが、相葉さんならできると思っています。
売上がほとんど上がっていない今の状況からだと、信じられないかもしれませんが、この講座では、たとえば、30万円の売れる商品などを創ります。価格30万円であれば、月に3件獲得するだけで90万円。月に90万円であれば、年に1080万円になるわけです」
「30万円……ですか?」
「実際にはお客さまによりますが、相手が企業などの場合、1社から1000万円を超える事例もあります。30万円は十分に可能です」
彼女は安心したような表情になった。
「少しホッとしてきました」
「『売れる商品』を創れば、一気に売りやすくなります。
当然です。『売れる商品』であれば、売れるコピーも書きやすくなるし、売れる広告だって展開しやすくなります。そして、『4つの軸』を有利にし、実際に成果がでるようになります。売れる商品が集客全体に影響を及ぼし、売れるようになっていくわけです」
「商品が集客全体に影響を及ぼす……」
彼女はその言葉を繰り返した。
僕はその様子を見て、続けた。
「商品開発をお手伝いしていて、強く感じるのは『売れる』こと以上に、『自信』をもてるようになることです。
『自分の商品が売れて、お客さまに喜ばれ、社会に貢献することが何より嬉しいし、自信になる』という声もいただいています。『売れる商品』は集客やビジネス全体に影響を及ぼすだけでなく、自信にもつながるのです。
結果は、すでに実証済みです。僕自身、『形がない商品』を中心に16年間マーケティングに取り組み、実際に100億円を超える売上を上げてきました。その中で特に成果につながったノウハウを詰め込んだのが今回の講座です。
ポイントは次のとおりです」
僕は講座に関する資料を彼女に渡した。そこには7つのポイントが載っていた。
- 「毎年売れ続ける商品」を創る(毎年1,000万円の売上を生み続ける商品を創ることがゴール)
- 「形のない商品」専門の講座だから、より成果につながりやすい
- 100億円超の売上を上げてきた専門家がマンツーマンで対応するあなた専用の講座(著書はAmazonマーケティング部門ベストセラーランキング1位獲得)
- 1対1の対面コンサルなので、全ての時間、あなたの問題に集中する
- 売れる商品に加え、基礎となる「売れるコピー(文章)」も構築し、ホームページ、ブログ、SNS、広告の展開が一気に効果的なモノになる
- 最短で「売れる商品」を創ることで、全ての展開にムダがなくなり、ビジネスの価値が高まる。
- ビジネスの核である「商品」が強固になることで、あなたの「自信」も圧倒的に高まり、より売れやすくなる。
彼女の表情から不安は消えていた。そして、彼女は受講を決断した。
講座の期間は90日。その間、彼女は真剣だった。僕と商品を開発するため、彼女は彼女の全力を、そして、僕は僕の全力を尽くし、彼女の商品を創りあげた……。
今、喜んでもらえるのが嬉しい
その後……、
彼女には不安がなくなり、退職金と貯金で何とか生活していた状況から脱することができた。銀行のATMでお金をおろす度に預金残高が減っていくのを見て、おかしくなるようなことはもうなくなった。
商品が売れるようになったことが大きかった。それに「橋本さんに『この商品なら絶対に大丈夫。自信をもって売ってください』そう言われたことが大きかった」と彼女は言った。
「私の商品は素晴らしい商品だ」と、彼女自身、心の底から自信をもてるようになった。それに加えて、「4つの軸」を意識し、それぞれの軸を有利にしていった。
今、彼女のセッションは予約待ちの状況が続いていると言う。
有楽町にあるカフェで彼女と打合せをしている時、僕はこう言った。
「もう、アールグレイを飲まないようなことはないですね。初めてお会いした時はほとんど飲まなかったですから。……本当に良かった。自分のことのように嬉しいです。おめでとうございます」
そう言いながら、僕は微笑んだ。
彼女も微笑みながら、いつものように目を大きくしながら、こう言った。
「お金の心配をしなくなったことはもちろん嬉しいのですが……、お客さまに喜んでいただけるようになったのが、何より嬉しいです。
以前は『社会の役に何一つ立っていない』と思っていたので。
小さな世界かもしれませんが、それでも、社会に貢献できるようになったのが本当に嬉しいです。本当にありがとうございました」
彼女は深々と頭を下げた。
その姿を見て、僕は嬉しい気持ちになり、「良かった。報われて」と声をかけた。
彼女は照れながらも嬉しそうにアールグレイを飲んでいた。