成果を強くアピールしたくない
「自分たち(自分)の成果を強くアピールしたくないんですよね」
2週間ほど前だったか。ある起業家が僕にそう話してきた。
成果をどれだけ上げたとか。
どの程度、売上を上げたとか。
どのような企業と取引があるのか、など。
そうした成果をお客さまに伝えるのは
「カッコ悪いですよ」
そう彼は言っていた。
でも彼の話を聞いていくと……
「実際にはそれらをお客さまに伝えた方が売れるので、それを伝えてます。
本当は嫌なんですが」
と話していました。
さて……、あなたはどう思いますか?
アピールはカッコ悪い、のか?
「カッコ悪い」という気持ち。その気持ちは確かにわかります。
正直にいえば、僕自身も以前はそのように感じていました。
自分の企業や自分のことをペラペラと偉そうに話したくない。自己主張したくない人、品の良い人は特にそうだと思う(僕自身が品が良いかどうかはともかくとして)。
1個人としては十分にわかります。
ただ、お客さまの立場になると僕の考えは全く違います。
僕は会社員時代。企業のマーケティング部の管理職で10年近くもの間、膨大なコストをもつ決裁者でもありました。
広告代理店、メディア、印刷会社、人材派遣など、様々な企業の非常に多くの営業、売り込みを毎日のように受けていました。
1日に最低3社は売り込みを受けていたので、単純計算すると、1年に1000を超える売り込み、10年で10000を超える売り込みです。
普通の人が想像を絶するほどの売り込みの経験です。
そうした営業マンの売り込みのほとんどは……
「これをやれば、成果は確実にあがる」
「本気でコミットします」
などと未来のことを調子よく話し、約束してきます。ほぼすべてが、です。
その言葉がホンモノかどうか、その提案内容や直感的に探ることもあるけれど、自分自身を納得させる意味、上司など社内を納得させる意味でも。どうしたって、どれだけの成果をあげた企業(人)なのかが重要になってきます。
(企業以上にその営業マンや専門家と付き合いたい場合はその彼らがどれだけのことをしてきたのかが重要になります)。
当時の僕のように「売上」や「CPA(顧客獲得単価)」が目標であれば、どれだけ売上を上げ、成果(CPA)を上げたのか、などです。それをどのように実現したのか。
そうした成果を確認することは重要どころではなく「必須」でした。
「恥ずかしいヤツ……」は本当か
「これだけの成果を上げてきた」という言葉を「そんなことを自分から話すなんて恥ずかしいヤツ」「自慢するな」などと言う人もいなくはないだろうけど、それはその商品やサービスを本気で検討していない第三者だと思います。
当時の買いものは高額のものであれば、数千万円を超える広告です。どれだけの成果を上げられる企業なのか、人なのか、それを見ず、それを聞かずに買ったことは一度もありません。
仮にGoogleなどの超大手企業で既に実績が伝わっているところであれば、それを聞く必要がないという人もいるかもしれないけど。それでも確認するし。
特に中小規模の企業は伝えることが重要だと思う。
社内でのアピールにもつながる
先日、ある大手企業との打合せの時。先方の社員の方がAという企業との取引開始を説明されていた。その時の説明はこうでした。
「Aという企業はXという分野で成功されていて……」
などとA社があげた「成果」のことを社内に伝えていました。
これも「成果」をアピールしたからこそ、です。アピールしたからこそ、社内でアピールしてもらえているわけです。
注意してみると、このようなことばかりです。そうしたことを聞く度に、過去や実績、成果を伝えることが重要だな、と思ってしまいます。
もちろん、伝え方の問題はありますが、中小規模の企業であれば、特に必要なことだと思います。
ぜひ、アピールされることをオススメします。